田辺新一研究室では、建築環境学をとおして、
省エネ性と快適性を両立した脱炭素社会の実現と、
すべての人が心身ともに健康で充実した生活をおくるための研究を行っています。
decarbonization
01
decarbonization
脱炭素社会の実現
省エネ性と快適性を両立した脱炭素社会の実現に向け、停電対策を考慮したZEH*1の実証や放射冷暖房やTABS*2などの次世代空調に関する研究を行っています。また、建設・運用に係るCO2排出量や太陽光発電量を3Dモデルの活用により推計することで、これからの建築・都市のあり方を検討しています。さらに、農業分野の研究者と協働し、ZEG*3の実現・普及に向けた研究なども行っています。
*1ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス
*2Thermo Active Building System(躯体蓄熱放射空調)
*3ネット・ゼロ・エネルギー・グリーンハウス
human
02
human
人体の快適性の追求
温熱環境要素が人体に及ぼす影響を明らかにするため、人体モデル*4の開発や半屋外空間における熱的快適性の検討を行っています。また、寝室内の環境に着目し、睡眠の質に及ぼす環境要因について調査を行っています。さらに、室内空気質が健康や快適性に与える影響について、人間の嗅覚を考慮した評価手法の検討を行っています。快適性に関する評価に加え、感染リスクが低い室内環境の実現のため、建築分野と医療分野の双方にまたがる研究も幅広く行っています。
*4人体体温調節モデル(JOS-3)
wellness
03
wellness
建築空間におけるウェルネスの向上
多様な働き方が普及する社会においてワークプレイスに求められる要素について研究を行っています。様々な執務環境を提供して柔軟な働き方を可能にするABW*5オフィスやパーソナル空調を導入したオフィスにおいて、執務者の知的生産性やウェルネスに関する調査を行っています。また、すべての人が健康で快適に生活できる住宅の実現に向け、床暖房や断熱改修についての調査や実験、シミュレーションを行っています。他にも、音環境と知的生産性の関係やバイオフィリックデザイン*6に関する研究など、取り組んでいるテーマは多岐にわたります。
*5Activity-based Working
*6植物や木材などの自然の要素を建築空間に取り入れた設計手法
publications
主な研究実績
熱的快適性
- Tanabe et al., THERMAL COMFORT REQUIREMENTS DURING THE SUMMER SEASON IN JAPAN. (1984) 日本の夏季における熱的快適性:日本人の大規模な被験者実験による論文、米国、デンマークとの比較が行われる。後にシンガポールとの比較も行われる。
- P.O.Fanger, B.M.Ipsen, G.Langkilde, B.W.Olesen, N.K.Christensen, and S.Tanabe, Comfort Limits for Asymmetric Thermal Radiation. (1985) 放射の不均一による不快感に関する論文。ISO-7730、ASHRAE 55に引用。初の査読論文
- Tanabe et al., Evaluating thermal environments by using a thermal manikin with controlled skin surface temperature (1994) サーマルマネキンを用いた温熱環境評価、バークレー、デンマークとの共同研究
- Tanabe et al., Effects of air temperature, humidity, and air movement on thermal comfort under hot and humid conditions (1994) 高温多湿環境下において気温・湿度・気流が熱的快適性に及ぼす影響
- Tanabe et al., Effective radiation area of human body calculated by a numerical simulation (2000) 数値シミュレーションを用いた人体の有効放射面積および投影面積の予測
- Yoshito Takahashi, Akihisa Nomoto, Shu Yoda, Ryo Hisayama, Masayuki Ogata, Yoshiichi Ozeki, Shin-ichi Tanabe, Thermoregulation Model JOS-3 with New Open Source Code (2020) 人体モデルJOS-3に関する論文。バークレーのライブラリーにも収録。GitHubでオープンソースとしてプログラム公開
知的生産性
- Tanabe et al., Productivity and fatigue. (2004) 執務者の生産性および疲労に関する評価
- Tanabe et al., Indoor temperature, productivity, and fatigue in office tasks (2011) オフィスタスクと室温・生産性・疲労の関係
- Tanabe et al., The effect of indoor thermal environment on productivity by a year-long survey of a call centre (2011) コールセンターにおいて室内温熱環境が生産性に与える影響
- Tanabe et al., Thermal comfort and productivity in offices under mandatory electricity savings after the Great East Japan earthquake (2013) 東日本大震災後の節電環境化下におけるオフィスの熱的快適性と生産性
- Tanabe et al., Workplace productivity and individual thermal satisfaction (2015) 職場の生産性と執務者個人の温熱環境満足度の関係
感染症対策
- Morawska., How can airborne transmission of COVID-19 indoors be minimised? (2020) 室内環境におけるCOVID-19の空気感染の最小化、国際共同研究
- Morawska., A paradigm shift to combat indoor respiratory infection (2021) 呼吸器感染症対策と換気システム、COVID-19の空気感染を指摘した論文