日本におけるオフィスの湿度規準は、ビル管理法で40~70%RHとされている。欧米では、ASHRAE Standard 55-92で低湿度基準を絶対湿度4.5g/kgと定めていたが、ASHRAE Standard 55-2004として改定された際に湿度の下限値は廃止された。ASHRAE Standard 62-2001では、推奨値を30~60%RHとしている。しかし、これらの湿度の下限値は冬季の低湿度気候を想定したものであり、夏季の低湿度基準の科学的根拠はない。一方、空調設備システムの技術向上により、デシカント空調や氷蓄熱空調を用いた低温送風空調システムなど、夏季にも低湿度を実現可能な空調システムが実用化されている。また、建築内部空間では、高気密化や新建材使用により室内空気汚染問題が生じている。空気汚染化学物質は在室者の粘膜を刺激し、在室者はこれを湿度による乾燥感と認識する可能性がある。加えて、在室者のコンタクトレンズ装用による目の乾燥感や不快感及びドライアイ症候群の問題が生じている。
このようなオフィス内空間の現状をふまえ、低湿度環境が在室者の快適性・知的生産性に及ぼす影響を評価している。