工場のような大空間建築において空間全体を空調することは膨大なエネルギー消費につながるのは明らかである。工場で局所空調システムとして多く採用されているスポット空調は居住域空調を更に発展させたもので、作業者近傍に給排気口を設け、人体周りのみを集中して空調制御することで高い省エネルギー効果が期待できる。一方で、スポット空調は人体に気流を当て冷却するため、局所的冷却やドラフトの発生などにより作業者に不快が生じる可能性が考えられる。本研究では、スポット空調からの給気風量、給気温度、吹き出し口形状、吹き出し口位置・高さを変えた条件を設定し、被験者実験を行った。その結果、スポット空調の使用により熱的快適性が向上した。また、一般的に用いられている筒型吹出口では、冷却範囲は作業者周辺の極めて狭い範囲になり、上半身を中心に強い冷却効果が見られた。今回作成した層流拡散流型吹出口の設置により冷却範囲は広がりを見せ、冷却効果は弱くなりつつも被験者は全身が均一に冷却された。拡散流の吹出し角度や軸流を調節する吹出し面の開孔率を調節することで快適性を向上させ、疲労感を緩和させる可能性を示した。